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東南アジア駐在員報告
2000年3月 政治 駐在員 : 篠原 清志
インドネシア、錯綜する情報、混沌とする社会秩序
外遊先でワヒド大統領は、インドネシア民主化の影の功労者ウィラント政治・治安担当調整相(前国軍司令官)を解任するとの発言をし、帰国後の2月14日、ウィラント氏を職務停止として事実上解任した。これに対して、米国や国連は賛辞を送り、日本や欧米メディアではインドネシア民主化の勝利といった報道が多い。しかし、今回の解任劇が、単純に守旧派の軍人を切ったとは言えないとの見方が出ている。ウィラント氏は改革派で、各地で騒動を煽り、クーデータまで視野に入れている国軍の守旧派から遠ざけ、将来の復権に望みを残しているというものである。その真偽は不明。
最近のジャカルタは、時々大掛かりなデモなどもあるが、ずいぶん落ち着いてきていて、日系企業のビジネスも順調に進んでいるとの情報がある一方、ある地方では、みんなでやれば恐くないとばかりに村人総出で、送電線や水道管まで土を掘り起こして盗むようになっていて、このような住民の違法行為に対して警察は何も手を出せなくなっているという。また、企業内でも、労働組合が先鋭化していて、経営者に一方的な要求を突き付け、良い回答が得られなければ、工場に火をかけたり、機械を打ち壊すなどの事件が多発しているという。
国も大きく、体制の転換期にある同国の現状については、錯綜した情報が飛び交い、社会秩序も混沌としている。
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