中国駐在員報告
2021年9月 経済 駐在員 : 浅原 敏治
中国国営中央テレビ(CCTV)系のビジネスチャンネルは、中国の独身者数が2018年時点で2億4千万人と全人口の約16.7%を占め、このうち7,700万人が1人暮らしをしており、2021年には1億人に近づくと報じた。
中国社会科学院の社会学研究所は、「最近の独身者は消費体験を重視している。ブランドをやみくもに追及するのではなく、コストパフォーマンスが高く個性的な商品を購入する傾向がある」と分析した。同所の別の調査では、「自身が楽しむために消費をする」と答えた人の割合が世帯を持つ人で27%、独身者で42%と独身者の方が大きく上回った。
また、中国の青年層を対象に実施した消費に関する調査によると、単身者の多い18歳〜25歳の青年層の34%が今年消費を増やす分野を「旅行」と答えた。新型コロナウイルス感染症によって抑え込まれた旅行需要が、コロナ収束後は一気に放出されるのではないかと分析されている。2位は「保健・健康維持」の33.3%で、このうち男性は安全な食品の購入、ワクチン接種、除菌・防疫で健康を維持すると考え、女性は運動や健康診断、規則正しい生活で健康を保つと考えていた。
こうした1人暮らしをする独身者の需要「お一人様経済」を捉えようと、企業も様々な動きを見せている。飲食業界では、周りを気にせず1人で食事が楽しめる席を用意し、1人分のメニューを提供している。また、単身生活者に合わせた小型の炊飯器、冷蔵庫、掃除機などの家電の需要も高まっている。
中国民政省の統計データによると、中国の婚姻件数は2013年以降減少傾向で推移し、2020年の全国婚姻件数は813万1千組で、前年比12.2%減少だった。こうした婚姻件数の減少から、独身者の数は今後も増えると予想され、「お一人様経済」の伸びは続きそうだと中国のメディアは報じている。
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