ここから本文です。
中国駐在員報告
1999年12月 政治 駐在員 : 今村理一郎
朱鎔基再登場
今年4月、朱鎔基が訪米の際にWTO加盟についてアメリカ側に譲歩したとして、中国国内では、保守派やWTO加盟により影響を受ける業界から朱鎔基批判が公然と行われ、朱鎔基がマスコミに登場する機会は極端に減少していた。
国有企業改革による失業者数は、実際には政府公表数字の3.2%をはるかに上回ると考えられ、今後国有企業改革が進めば更に失業者が増え、社会不安を増大させることが予想される。このため、先の中国共産党中央委員会全体会議において、朱鎔基が首相就任時に掲げた3年間で国有企業を改革するという公約が撤回され、改革の期限を2010年までとする決議がなされ、これに伴い朱鎔基が辞任するのではないかとの噂が流れた。
今回の米中のWTO交渉妥結により、朱鎔基を中心とした改革急進派が当面勢いづいてくることが予想される。中国共産党の中央委員も、外国からの投資が減少または先細りすれば改革開放政策が頓挫し、国内の混乱から政権維持も危うい事態になるという認識では一致している。
日付別一覧 地域別一覧 分野別一覧
|