中国駐在員報告



2019年4月 経済
駐在員 : 石井 亘


 上海市や北京市のビジネス街で昼食を取るために日本食レストランに入ると周りは日本人よりも中国人のほうが多いことが良くある。一般的に日本食は中華料理よりも高く、中国人はお金にはシビアである筈だが「日本食なので高くても構わない」というのが同僚の中国人の意見である。
 中国での日本食人気は勢いを増しており、日本貿易振興機構(JETRO)の調査によると、中国本土の日本料理店は2017年初めには約10,600件だったものが同年末には約40,800件となった。農林水産省のデータでは過去3年間に世界中で開店した日本料理店の半数は中国本土での開店である。
 中国本土での日本食が人気を博している理由の一つとして、訪日中国人旅行者の増加が挙げられる。日本に旅行した際に日本料理に触れ、帰国後にまた日本料理を楽しみたいという中国人が増えている。また、中国人の消費購買力の上昇も一因である。十数年前には日本料理は他の料理と比較し高価だったため、人気はそれほど高くなかった。
 加えて、中国人の生活様式の変化も日本食人気につながっている。多くの中国人が健康に気を配るようになり、サラダのような軽い料理を好むようになっており、日本食と健康とを結びつけて考えている。代表的な日本食である寿司が人気なのもこの考え方からであり、若年層だけではなく以前は生物を食べなかった老人の中にも寿司が好物という人が増えてきた。 
 日本食レストラン全体の店舗数は増加しているが、近年の傾向として上海市、北京市、広州市といった大都市での増加率は低くなっている。その一方で、江蘇省蘇州市、浙江省寧波市、山東省青島市といった地方の有力都市で店舗数が大きく増えている。日本貿易振興機構(JETRO)ではこの理由として地方の有力都市でも日本食を含め世界各国の料理への関心が高まっていること、そして上海、北京で何年間か働いた後に故郷に戻って再就職する若者が上海、北京勤務時と同じように日本食を楽しみたいという需要が要因であると分析している。

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