ヨーロッパ駐在員報告
2001年5月 経済 駐在員 : 森貴志
ドイツ政府は閣議で初の「貧困白書」を了承した。それによると、東西両独統一後の10年間で、一世帯当たりの所得・財産面での貧富の格差が拡大。旧西独と旧東独の対比では、「豊かな西」と「貧しい東」という富の偏在ぶりが浮き彫りとなった。
白書によると、1998年の年間平均実質所得は旧西独が6万1,800マルク(現行レートで約350万円)なのに対し、旧東独は4万7,400マルク(約270万円)となっている。
100万マルクを超えるような百万長者は全国で約1万3,000人に達しているが、失業者や一人暮しの人、子だくさんの家庭を中心に所得の不足感が強くなっており、失業手当や養育手当など何らかの社会保障給付を受けている世帯は約150万世帯と10年前に比べ倍増しているという。
不動産など個人財産面で見ると偏在ぶりは一層顕著で、旧西独では平均で約25万4,000マルクなのに対し、旧東独は約8万8,000マルク。東西を問わず、1割前後の富裕世帯が個人財産全体の40―50%を独占しているとされ、「豊かな西」の富裕世帯の平均財産が約110万マルクなのに対し、「貧しい東」の貧困世帯ではわずか8,000マルクとなっている。
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