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ヨーロッパ駐在員報告
2001年8月 社会・時事 駐在員 : 森貴志
ベルリン発時事通信によると、ドイツ南部バイエルン州の景勝地であるベルヒテスガーデンの岩山のふもとに、ゴルフ場を併設した豪華ホテルの建設が進んでいることに波紋が起きている。
実は、この岩山の頂上に建てられている山荘は、第二次大戦中、ヒトラーが“第二の総統府”として使用したことで知られているもので、戦後、米軍に接収され、在独駐留米軍の保養施設となっていたところ、1995年に同州に返還された因縁がある。
山荘は、山頂に達するヒトラー専用の金箔のエレベーターを持ち、また、アルプスの山並み、隣国のオーストリア・ザルツブルクの街並みまで見渡せる眺望の良さが人気を呼び、米国や日本などから多くの観光客が押し寄せる名所となっている。
岩山のふもとの開発は、同州政府が観光誘致にと、英国の大手ホテルとタイアップして計画したものだが、地元野党やユダヤ人団体などからは「ナチスの過去を覆い隠そうとしている」などと反発が続いている。
ファルトハウザー同州蔵相はこのほど行われたホテルの起工式で、「ナチスの時代を忘れているわけではない。もともとこの地方は、そのはるか以前から観光地として知られていたところである。」と理解を求めたが、反対派との論争は今後も続く見込みである。
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