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中国駐在員報告
2002年2月 経済 駐在員 : 外山敬三
・日系企業中国現地社員給与動向
NNA中国版が昨年12月に実施した「中国現地社員給与動向調査」の集計結果がまとまり、日系企業が中国で雇用する現地社員の最新の給与動向がこのほど公表された。
中国における日系企業の給与所得者の平均年収は推定で、工員が年間約40万円〜約50万円、一般事務員が約50万円〜約70万円、管理職は約100万円〜約160万円であった。一方、日本国内企業の給与所得者の平均年収は461万円(民間給与実態統計調査平成12年分;国税庁)であり、中国における日系企業の給与所得者のボリュームゾーンが工員や一般事務員と考えると、平均年収の格差は8倍〜10倍に達する。日本ではあまり見られない皆勤手当、生活補助、祝祭日手当や物品支給制度等を加味しても給与格差は大きく、中国進出において、“人件費の安さ”は企業にとって現状大きなメリットの1つであると言えよう。
また、調査は中国の昇給率の高さにも言及している。日本国内企業の平成12年7月〜平成13年6月までの1年間の1人平均賃金上昇率は2%(2001年賃金事情等総合調査;中央労働委員会)で、ここ数年低下傾向にあるが、中国における日系企業では、比較的昇給率の低い高卒工員や運転手でも平均約5%、大卒管理者にいたっては平均9%前後に達する。
中国は日本にとって魅力的な労働市場であるのは確かであるが、このままのペースで昇給が続くと仮定するならば、20年後には日中の給与格差は2〜3倍程度に縮小されると予測している。特に「上海」は他の地域と比べ高い昇給率を維持しており、短期的に見れば「上海」における賃金は他の地域よりもう一段上の金額にシフトすることが推察される。今後上海は、「人件費」という観点から得られるメリットがしだいに薄れ、「市場」としてのメリットが濃くなるであろうとしている。
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