韓国駐在員報告
2015年7月 経済 駐在員 : 野原靖
2015年(平成27年)6月15日〜25日にかけて、下半期の事業調整のため、静岡県内や東京の関係先を訪問し、(1)9月の「日韓交流おまつり」への静岡大道芸チームの韓国誘致調整、(2)11月の大規模食品展「FOOD WEEK KOREA」出展打合せ、(3)韓国ABCクッキングスタジオと本県のコラボレーションイベント協議、(4)食品機械メーカーや金融機関との海外展開協議を実施した。
(1)の「日韓交流おまつり」については、在韓日本国大使館と連携し、大道芸ワールドカップ2014in静岡のJAPAN CUP優勝チームである「ファニーボーンズ」を韓国に誘致し、9月19日のソウルパレード及び20日のステージイベントでパフォーマンスを実施予定。同チームは、「全身で演じ、骨まで笑わせる芸」をモットーに活動しており、2011年クライストチャーチ・ワールド・バスカーズ・フェスティバルでは、海外チームでは初となる国際批評家賞を受賞している。「日韓交流おまつり」は、10万人規模の日韓交流行事であり、芸術、文化、地域の魅力PRなど様々な交流が行われる予定で、当事務所も県ブースを出展し本県をPRする。国籍問わず楽しめる大道芸が両国の友好に寄与することを願う。
(2)の大規模食品展「FOOD WEEK KOREA」(11月開催)での本県企業出展に向けて、楽天本社との協議を行った。去る5月に参加した「C-Festival」では、楽天と連携して海外向けインターネット通販とフード展を連動させた企画で、県内特産物と、それらを擬人化したキャラクターとをコラボレーションした「静岡もえしょくプロジェクト」など、インターネット販売を通じて韓国でも購入可能な4社22商品の試食と販売を実施した。当日は商品のふりかけ(かつお味、わさび味、抹茶味等)が全て売り切れたほか、LINE等のSNS投稿イベントには100名以上の投稿があり、大いに盛り上がるなど好評であった。従来の海外物産展は、試食会・試飲会に留まって商品の購入に繋げられていなかったことが課題であり、今後は、海外向けインターネット通販と食品展を連動させることで、消費者が直接購入できる仕組みを整えていく必要がある。特に、韓国のEC(電子商取引、ネット通販)市場は、高いスマートフォン普及率(約80%:世界2位)や世界1位のインターネット速度に支えられ、2010年に百貨店とスーパーマーケットの売上高を追い抜き、現在も伸長を続けている。また、海外向けに輸出される食品は、賞味期限が最低半年以上の商品が中心であり、今後は、賞味(消費)期限にとらわれず、インターネット通販支援を通じて、より幅の広い県産品を韓国消費者に届けていきたい。
(3)については、県韓国事務所とABCクッキングスタジオinソウルでのタイアップキャンペーンに向け両者協議を開始している。本県産の日本酒やその他本県食材の料理メニューの検討、県産品PR方法などについて、現在日本酒輸入業者も交え、3者で協議を行っている。ABC クッキングスタジオは、昨年11月にソウルのロッテワールドモールに第1号店を出展。ABC本社から1名、NTTドコモ(資本提携)から1名が出向しており、現在、会員数は600名を越え、女性9割(20代及び30代が7割)で今後は男性会員も増やしたい意向。5年以内でドミナント(地域を絞って集中的に出店)方式にてソウル市内10店舗まで増やす予定とのことである。ABCクッキングスタジオは、ル・クルーゼや貝印株式会社などの民間企業とのコラボレーションを始めており、当県とのコラボレーションは自治体では初の試みとなる。今回は、県産食材を用いて県産日本酒に合う料理を3品ほど作り、本県産の日本酒講義も実施する方向で検討中である。今回の日本出張では、JA静岡経済連を訪問し、情報共有を図り、食の都である本県が誇る県産品の輸出検討を協議した。また、県内の調理器具メーカーなどとの連携の可能性を探っており、今後も関係者と協議を継続していく。
(4)については、県内の食品関連機器や農業機械メーカーを中心に訪問。
新産業集積課及び焼津水産化学工業と共同出展した5月の「SEOUL FOOD2015」の会場リサーチで、日本の食品関連機器企業が韓国内で積極的に事業展開していることを知り、今回の日本出張では、県内の食品機械・装置産業系の企業数社とも協議した。具体的には、バウムクーヘンの自動オーブン装置や食品分析器等を製造している企業と韓国での事業展開について情報交換を行い、韓国向け事業展開に向け事務所としてもサポートを行っていくことで確認できた。また、県東京事務所とともに韓国の政府機関であるKOTRA(韓国貿易投資公社)東京事務所を訪問し、本県及び韓国との更なる通商活性化、具体的には、相互の投資誘致や商談会支援など相互協力について確認できた。県庁及び県東京事務所やKOTRA韓国本部及びKOTRA東京事務所等と連携して、今後韓国との通商拡大に向けた活動を活発化させたいと考えている。
| |
日付別一覧 地域別一覧 分野別一覧
|