中国駐在員報告
2019年1月 政治 駐在員 : 土屋 岳久
2018年11月11日の中国の「独身の日」、阿里巴巴(アリババ)集団(本社:杭州市)が運営するオンラインモール「天猫(T-mall)」の総売上が2,135億元(約3兆5千億円)に上った。このニュースは日本でも報道されたので知っている方も多いだろう。
このようなニュースから、日本では「中国で物を売るにはインターネット展開が手っ取り早い」という安易な発想があるとも聞く。しかし、今やレッドオーシャン(血で血を洗うような激しい価格競争が行われている既存市場)である中国のネット通販市場では、商品を販売するプラットホームの二強である前述の「天猫」と、京東(ジンドン)集団が運営する「京東.com」(本社:北京)でさえも、いかに自社のサイトから商品を購入してもらうか、時間とお金をかけ、アイデアを絞り差別化を図ろうとしのぎを削っているのが現状である。
そのような中、差別化の一つとして、「京東.com」では「京尊達」という高級配送サービスを2017年6月より一部都市部で開始しており、先日は対象エリアを広げるとの発表もあった。
「京尊達」は、「京東.com」で販売されている宝飾品や化粧品等の高額商品を「ビジネスマナー研修を受け、黒のスーツと白手袋を身に着けたスタッフがEV車で特定の場所に配送」してくれるサービスである。
宅配物の取扱が決して丁寧とは言えない中国で、「京尊達」のような丁寧な宅配を売りにしたサービスが企画・拡大されているということは、中国の市場がこれまでと違う高品質なサービスを求めている現れではないかと感じている。日本の企業も、中国流の「おもてなし」を実践することで、商機が生まれるのではないかと考える。
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