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中国駐在員報告
2013年9月 政治 駐在員 : 井口真彦
寧波市は人口760万人を擁し、省都杭州市と並ぶ浙江省の副省級の大都市である。その寧波市の東に隣接し、1,390個の島嶼から成り「千島の城」とも呼ばれるのが舟山市(人口約112万人)。この舟山群島は、2011年6月に上海浦東、天津濱海、重慶両江に続く全国で4番目の国家級新区として国務院に承認され、今後の発展が期待されている。
県産品の販路拡大や日本への送客増を目指した活動、新区に関する情報収集などのため、寧波や舟山に何度か足を運んでいる。
上海と杭州、寧波の位置関係は、杭州を頂点としたV字となっており、間に杭州湾が広がっている。上海から寧波へ行く際には、高速鉄道か車を利用する。舟山へは寧波から金塘大橋という海上橋で移動する。
鉄道の場合、以前は、上海から杭州まで高速鉄道で行き、在来線に乗り換えて寧波に向かったため、3時間弱かかったが、杭州と寧波を結ぶ杭甬(こうよう)高速鉄道が7月1日に開通し、乗車時間は1時間40分となり、両都市間の移動時間が短縮された。また、車の場合は、上海と杭州の間にある嘉興市から杭州湾を跨いて寧波市に至る杭州湾跨海大橋(2008年開通、約35.7q)を利用しても、両都市の中心部から中心部へ約3時間かかる。
少し前の上海地元紙によると、杭州湾を跨いで上海、寧波を結ぶ全長約130qの渡海大橋の整備計画がまとめられた。舟山群島と両都市との経済一体化を図るのが狙いで、特に上海の洋山港(上海市浦東新区の東南30km沖合い杭州湾上の嵊泗(じょうし)列島の洋山に建設されたコンテナ港湾。上海市とは長さ32.5kmの東海大橋で結ばれている)と寧波・舟山港の相互補完関係の強化が期待できるとしている。上海へは、舟山群島本島から北端の岱山(たいざん)島を経由して、上海沖の洋山港までを「舟滬(しゅうこ)大橋」で接続。洋山港からは計画中の「東海第2大橋」で上海市内につながる。また、寧波向けは、西端の金塘島経由で寧波まで架かる橋を新設する。
実現すれば、新区構想とも相まって、上海、寧波、舟山が一体的に大きく発展する契機にもなり得る非常に壮大な計画であるが、新聞報道は整備時期や費用などには言及しておらず、また、浙江省、寧波市、舟山市の政府関係者の中からも実現性を疑問視する声も聞かれる。
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