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東南アジア駐在員報告
2002年2月 経済 駐在員 : 岩城徹雄
・日本とシンガポール、経済連携協定に調印
日本としては初めてとなる二国間の自由貿易協定が、1月13日シンガポールにおいて、小泉、ゴー両首相の間で調印された。正式には「日本・シンガポール新時代経済連携協定」というこの協定は、貿易の自由化にとどまらず両国の包括的な経済連携を目指しており、「日本とASEAN諸国の関係のモデルとなる(小泉首相)」もので、実質的な効果が期待されている。概要は以下のとおり。
◎目的と意義
・貿易と投資の自由化・円滑化や経済制度の調和により、域内の貿易・投資を拡大し、両国経済を活性化する。
・新時代の経済実態に即した広範囲の分野を対象とする協定として、WTOにおける自由化の議論に貢献する。
・さまざまな分野での交流を通じ両国間の相互理解が促進され、政治的・外交的な関係の強化に寄与する。
◎自由化・円滑化を図る分野
1.物の貿易を促進
・日本からシンガポールへの輸出にかかる関税は全て撤廃
・シンガポールから日本への輸入のうち約94%(00年の金額ベース)は関税ゼロに。例外はマグロなどの農水産物、ポリエチレンなど石油化学製品の一部。
2.原産地規則により、第三国からの迂回輸入を防止
3.税関手続きの簡素化
4.ペーパーレス貿易の導入(貿易関連文書の電子的処理)
5.基準認証の相互承認(電気通信機器など輸出に当たり必要な手続きを国内で行うことを可能に)
6.サービス取引の促進(サービスの貿易に係る規制を透明化)
7.資本・情報の移動の促進(投資家・投資財産の保護、投資関係規制の緩和)
8.人の移動の促進(入国管理規制緩和、技術資格の相互認証)
9.知的財産(同一の発明の特許出願手続きを簡素化)
10.政府調達(物とサービスの調達基準額の引下げ)
11.競争政策
◎経済連携の強化を図る分野
1.金融分野の協力(両国金融当局の協力)
2.ICT(情報通信技術)分野の協力(例;電子認証の相互運用性を高める協力)
3.科学技術開発分野の協力(先端技術分野での研究協力)
4.人材育成分野での協力(例;大学間の単位互換、授業料免除協定、研修目的の政府職員派遣の実施
5.貿易・投資の促進(例;ミッション派遣、セミナーの開催推進)
6.中小企業間の協力(例;ビジネスマッチングの実施、ビジネスサポ
ートセンターの整備)
7.放送事業の協力
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