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中国駐在員報告
2006年1月 社会・時事 駐在員 : 小杉 長生
昨年11月、吉林省吉林市にある化学工場爆発事故により、約100トンのベンゼン及びニトロベンゼンを含む汚染物質が松花江に排出され、松花江及びその下流部のアムール川の水質が汚染された。
ベンゼンは発ガン、ニトロベンゼンは意識喪失、けいれんの症状を引き起こす危険があるため、取扱には十分な注意が必要な物質である。
これまでの経緯は
11月13日 国家環境保護総局が、ベンゼン工場で爆発事故が発生、汚染物質推定100トンが松花江に流れたと発表
11月21日 ハルビン市政府が断水を発表
11月22日 ハルビン市が断水措置をとる
11月27日 水道水供給が再開
12月10日 ロシア・ハバロフスク地方政府は、影響審査が終了するまでアムール川産の魚などの取引を禁ずる政令を公布
12月15日 汚染物質のアムール川への流入を確認
12月22日 汚染物質のハバロフスク市流域への到達を確認
関係機関等の発表による汚染状況
(吉林省)
11月13日 事故発生直後、国家基準値の40倍のニトロベンゼンを検出
11月22日 吉林省内流域において国家基準値以下に低下
(黒龍江省)
11月20日〜22日 松花江が黒龍江省に入る最初の地点で国家基準値の29.9倍のニトロベンゼンを検出
11月25日0時 ハルピン市国家基準値の33.2倍を検出
11月26日20時 国家基準値以下となる。
12月25日12時 ロシア国境付近の黒龍江のニトロベンゼン濃度は国家基準値以下
(ロシア国境内)
12月22日 ハバロフスク市流域のアムール川の汚染物質濃度は許容範囲内で、27日までにハバロフスク市内を通過する見込み
汚染物質は中国松花江、黒龍江、ロシアのアムール川を経て、日本海、オホーツク海へ移動している。現在冬期のため河川の表層部は凍結しており、汚染物質は河底へ沈殿しているため、環境に及ぼす影響については明確になっていない。
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