東南アジア駐在員報告
2015年9月 政治 駐在員 : 吉住理恵子
8月17日、タイのバンコク繁華街で爆発があり、20人が死亡、120人以上が負傷した。事件があったのは、観光名所でもある「エラワンの祠」があり、我々もバンコクを訪れた際に通ることもある場所だ。翌18日にも5キロほど離れた観光地で爆発があり、緊迫感はさらに高まった。
29日には犯人と思われる外国人が逮捕され、今後、背後関係や犯行の動機などが明らかにされていくものと思われるが、当初、犯人について、 クーデターで誕生したプラユット政権への反対勢力説、タイ南部のイスラム武装勢力説、タイ政府がウイグル人を中国に強制送還したことへの報復説、中東のテロ組織による犯行説など、複数の説がでて情報が錯綜したことは、タイの現在の政治状況の混迷状況を反映している。
昨年(2014年)のタイへの外国人旅行者数は、クーデター等による政情不安等もあり、前年比6.7%減の2,400万人、外国人観光客による観光収入は8.1%減の384億USドル(約4兆6,000億円)となった。軍事政権誕生により逆に治安回復が図られた面もあり、不穏な雰囲気も薄れ観光客数回復が期待される中での今回の事件。今後、散発的に爆発事故が起きることへの不安感から、海外からの客足が再び遠のくことが懸念される。
タイの憲法起草委員会は、22日に国家改革評議会(NRC)に新憲法草案を提出し、9月6日の採決で可決されれば来年1月に草案の是非を問う国民投票が実施され、否決されれば、新憲法策定は振り出しに戻る。
タイで暮らす本県企業の駐在員やその家族はもちろん、観光客も安心して過ごすことができるよう、一日も早く政治的安定と平穏な日々が戻ることを願わずにいられない。
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