韓国駐在員報告
2012年7月 経済 駐在員 : 澤井 亨
コーヒーブームが続く韓国では、緑茶販売市場が急速に縮小している。
韓国での緑茶販売は、2000年代半ばまでは成長を続けていたが、2004年の2,500億ウォン(約172億円)をピークに減少をはじめ、現在は2,000億ウォン程度(約138億円)と言われている。
ペットボトル入り緑茶飲料の代表銘柄である「宝城緑茶」(市場占有率45%)も、1996年5月の発売開始後、2005年に240億ウォン(約16.6億円)を記録するまで順調に売上げを伸ばしていたが、これをピークに減少が始まり、2011年には50億ウォン(約3.4億円)にまで落ち込んだ。
また、韓国緑茶の主生産地である全羅南道では、2008年から2010年にかけて、緑茶の栽培面積が約20%減少し、栽培農家数も約12%減少している。
他方、コーヒーは、自宅等で飲まれる粉末ミックス・コーヒーが1兆1,000億ウォン(約758億円)、ペットボトル入りコーヒー飲料等が8,700億ウォン(約600億円)、コーヒー専門店での販売が2兆4,000億ウォン(約1,655億円)で、合計4兆3,700億ウォン(約3,013億円)規模の市場が形成されている。なかでも、コーヒー専門店は、この5年間で店舗数が約10倍に増加しており、コーヒーブームを象徴する存在となっている。
一方、韓国の緑茶製造最大手の(株)アモーレパシフィックは、6月22日、済州特別自治道に、敷地面積1,586uの「雪緑茶園プレミアム工場」を完成させた。この工場は、高級茶を多品種少量生産するために建設されたもので、年間最大生産量は、緑茶12トン、発酵茶10トン、粉茶24トンと見込まれている。同社は、「韓国茶は、1200年以上の歴史を持つにもかかわらず、世界的な知名度が低い。この工場が、韓国茶の素晴らしさを世界に知らしめる核心拠点となることを期待する。」とのコメントを発表している。
より高級な緑茶等の生産を通じて、韓国内だけでなく、海外市場への展開を目指していると思われる。ちなみに、韓国人は、渋みの出にくい冷茶を好む傾向があると言われている。
〈ペットボトル入り緑茶飲料「宝城緑茶」の売上高の推移〉
(単位:ウォン)
| 2004年 | 2005年 | (中略) | 2009年 | 2010年 | 2011年 |
売上高 | 180億 | 240億 | | 60億 | 55億 | 50億 |
〈全羅南道の緑茶栽培面積及び栽培農家数の推移〉
| 2008年 | 2009年 | 2010年 |
緑茶栽培面積 | 2,034ha | 1,894ha | 1,599ha |
緑茶栽培農家数 | 2,683戸 | 2,594戸 | 2,367戸 |
〈韓国内のコーヒー専門店の店舗数の推移〉
| 2006年 | 2011年 |
専門店舗数 | 1,254店 | 12,000店 |
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