東南アジア駐在員報告
2014年8月 行政
駐在員 ： 吉住理恵子
７月２９日、３０日に、調査のためにベトナムのゲアン省を訪問した。ゲアン省は、首都ハノイから約260km南に位置し、面積約165万haでベトナム最大、人口は約300万人で第4位、主要産業は農業で、1人当たりのGDPはベトナム平均(2007年843ドル)を下回る466ドル、故ホーチミン氏の出生地として知られている。省都ヴィン空港は、ハノイ、ホーチミン、ダナンへの国内線と、ラオスへの国際便が就航している。我々もハノイから1時間程度のフライトでゲアン省に入った。
今回は、昨年、ゲアン省幹部が本県訪問した際に要請のあった交流促進の可能性を検討するための材料として、省庁でのヒアリングのほか、ヴィン空港やクアロ港や主要道路などの交通インフラの状況、ゲアン省に進出している日本企業へのヒアリング、観光資源等を視察した。
ゲアン省は、ベトナムの東遊(ドンツー)運動の指導者だったファン・ボイ・チャウの故郷でもある。袋井市(旧浅羽村)出身の医師浅羽 佐喜太郎が、ファン・ボイ・チャウを物心ともに援助したことは日越40周年の昨年、ドラマ等でも紹介された。ちなみに、袋井市には記念碑が建立されているほか、浅羽ベトナム会や商工会議所がベトナムとの交流を深めている。
調査の一環で訪ねたヴィン近郊のナムダンにあるファン・ボイ・チャウの生家では、茅葺屋根と竹壁の質素な家屋と、隣接した記念館に展示されている写真や遺品や資料を見せていただいた。自筆の文書につづられた、几帳面だが意志的な線の漢字にその人柄がしのばれた。
ゲアン省では、ハノイ近郊や、ホーチミン近郊などと比べると、工業等の投資環境としては条件が厳しく、外国直接投資累計も2012年末現在15.5億ドル、日系企業の進出もほとんどない。現在、整備を進めている空港、港、道路等のインフラの整備が進み、誘致中というシンガポール等への海外航路等が充実していけば、ファン・ボイ・チャウの生家を訪れる観光客も増え、ベトナム内外の人に浅羽佐喜太郎のことを知っていただく機会も多くなるかもしれないが、そうなるまでには、今しばらく時間がかかりそうだ。
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