東南アジア駐在員報告
2015年5月 社会・時事 駐在員 : 吉住理恵子
4月3日(金・祝)から、5日(日)にかけて、シンガポールのマリーナ地区にあるマリナベイサンズ エキスポ&コンベションホールで、旅行展「TRAVEL REVOLUTION」が開催された。例年、シンガポールのアウトバウンド旅行展は、旅行業協会傘下の旅行代理店が一堂に会して、「National Association of Travel Agents Singapore (NATAS) Travel Fair」などを開催していたが、今回は会員の旅行代理店の大手4社をはじめとする30社近くの会員が従来の運営方針に不満を示し、NATASとは別の旅行展を独自に実施することとなった。
リー・クアンユー氏の死去に伴う開催時期延期があり、清明節(中華系の人の墓参時期)の三連休と重なったため、事務局が目標していた8万人の来場者数は達成できなかったものの、マリナベイサンズという好立地の会場で、従来有料だった入場料を無料化したこともあり、76,000 人(主催者発表 )と3月初旬に開催されたNATASに比べて、はるかに多くの集客があり、3日間の旅行商品売上は、1 億シンガポールドル(約 90億円)超に上ったことが報じられた。
当事務所は伊豆市と共同でジャパンパビリオン内に静岡ブースを出展し、伊豆市のPRビデオを上映するともに、訪日旅行商品を購入し、情報収集に来る人たちからの質問に対応し、伊豆市、静岡県の観光資源をPRした。依然として「富士山を見たい」「何かいいところを紹介してほしい」という漠然とした質問がほとんどではあったが、「6月に行くのだが、東京近郊では、どんな花をどこで見ることができるか?」など、時期を限定した詳細な説明を求める人が多く、また、交通手段として 、セルフドライブを予定している人が増えているという印象を持った。若い人は、行程作成(検討)材料を集める際に、紙媒体を好まない傾向が顕著で、QRコードで容易にWEBにアクセスできるような仕掛けが好意的に受け止められた。
今回、NATASに対する「革命」が起きた背景には、ITを駆使して旅行情報や手配をする消費者の行動に、何とか対応しなくてはという旅行業界の危機感もある。旅行業界のみならず、我々自治体にとっても、消費者行動の変化に対応した意識革命が必要だ。
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