韓国駐在員報告
2021年10月 経済 駐在員 : 高橋 誠
韓国では8月17日に「輸入食品安全管理特別法」が改正され、「海外製造業所非対面調査」、つまりオンラインで海外の製造施設を調査できるよう法的根拠を整えた。さらに、9月14日、食品医薬品安全処が「非対面調査運営マニュアル」を刊行したという情報を掴んだ。
天変地異や感染病など現地調査が困難なケースにおいて、非対面での安全管理システムを作る必要性が台頭したとし、非対面調査を体系的・効率的に行うため、行政機関などが必要な業務処理手続きや基準を定めることを目的としている。マニュアルは30ページに渡り、用語の定義、手続きフローのほか、使用する機器の例なども掲載している。
調査は提出書類などによる書類調査と、情報通信技術を活用した映像調査、つまりオンラインでの調査を併せて遂行することとなる。もともと立入検査自体が、抜き打ちで行う仕組みだが、さらにオンラインとなると、製造業所としては情報管理、企業秘密などの部分で不安も出るだろう。
肝心の映像調査は、リアルタイムで製造現場の衛生管理などを点検するため、画像会議のプラットフォーム、ウェアラブル技術(スマートグラスなど)等の双方向で意思疎通が可能な方法で実施され、ハッキング予防のため、終端間(E2EE、エンドツーエンド)の暗号化技術支援プラットフォームを使用する予定だ。無断撮影の禁止、休憩時の映像会議システム及びカメラ・マイクの電源OFFも規定されており、通信エラー区域などについては録画映像での検査も可とし、国ごとの通信事情は考慮する等の幅も持たせている。撮影された写真や録画映像はセキュリティが確立されている「輸入食品統合システム」に登録管理され、5年間保存される。特定の権限を有するID所持者だけが閲覧でき、ハッキングなども周期的にモニタリング管理されるようだ。
情報技術とその活用が進む韓国。日本国内の事業者もこれに対応していくしかない。
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