韓国駐在員報告
2018年2月 政治 駐在員 : 小関克也
2017年5月、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が就任したが、同大統領は労働組合の支持も得ていることから、労働者向けの待遇改善に向けた政策が行われている。
今年も最も影響が大きいと思われるのは、最低賃金の改定だ。日本でもアベノミクスの影響でここ数年最低賃金の上昇率が高めになっているものの、それでも2017年10月の改定において上昇率は静岡県で約3%である。
これに対し韓国では今年1月、一気に16.4%も引き上げられ、1時間当りの賃金は7,530ウォン(約783円)となった。静岡県の改正後の最低賃金が832円であるから、もはや遜色がないといえるであろう。
一見、労働者には朗報に聞こえるがその一方、政府が運営するサイトの求人数は2017年12月、前年同月を17%下回った。これは賃金の上昇により、従業員の新たな雇用に負担を感じた企業が採用を控えた結果で、無人システムを導入する店やアルバイトを採用せず経営者が1人で働くフランチャイズ店が増えている。
政府も小規模事業所に対して、最低賃金対策の補助金を新たに設けるなどしているが、雇用者数の減少に加え物価上昇につながるとの指摘もあり、今後、この思い切った政策が成功であったか否かの結果が注目される。
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