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ヨーロッパ駐在員報告
2000年8月 政治 駐在員 : 森貴志
ネオナチの暴動は容認できず
外国人排斥や反ユダヤ主義を標ぼうするネオナチ勢力による暴力事件が後を絶たないドイツ国内で、再び怒りの世論が高まっている中で、フィッシャー外相は独紙ターゲス・シュピーゲルで「もはや黙っていることは許されない」として、極右暴力根絶を訴えた。
この件について世論沸騰のきっかけとなったのは、このような暴動がほとんど見られなかった静岡県駐在員事務所のあるデュッセルドルフ中心部のヴェアハーンという駅で先月発生した爆弾事件である。警察のその後の捜査で、重傷を負った9人はロシアやウクライナからやって来たユダヤ教徒だったことが判明した。
この事件について犯人や犯行の動機が明らかになっていないにもかかわらず外務省は、「今こそドイツは極右急進主義や外国人排斥と戦わなければならない」と異例の声明を発表した。
これに呼応して、連邦各州も取り締まりや法規制の強化など極右対策の検討にのりだしており、旧東独各州と並んでネオナチ勢力を多く抱える南部のバイエルン州は、極右政党のドイツ国家民主党(NPD)を非合法化する方針を打ち出した。
これまでも「ネオナチ勢力の政治的温床」ともいわれる極右政党の非合法化をめぐっては、たびたび議論されてきた経緯があるが、今回は、政府自らが極右勢力との対決姿勢を鮮明にしただけに、夏休み明け後の連邦議会で政治問題化する可能性も出てきた。
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