東南アジア駐在員報告
2005年2月 経済
駐在員 : 橋本勝弘
シンガポール「ツーリズム2015」 −ツーリストは2倍増、観光収入は3倍増が目標−
シンガポール観光庁(STB)は、2月中旬、今後10年間の観光振興計画の指針となる「ツーリズム2015」を発表した。この計画において、2015年までの目標として次の3つの増加を掲げている。
@ シンガポールへのツーリストを2倍の1,600万人に増加
A 訪問者のシンガポール国内での支出を3倍の300億シンガポールドル(約1兆9,200億円)に増加
B 10万件の新規雇用の創出
これを実現するための手法として、地元の観光産業振興を目的に設立されたツーリズム・デベロップメント・ファンド(TDF)に20億シンガポールドル(約1,280億円)を投入するとしている。
TDFでは、上記3つの目標を実現するため、次の4つの分野について優先的に取り組んでいく。
@ 基盤開発(観光旅行の成長を支えるために重要な基盤を開発する。)
A 能力開発(シンガポールで事業を始めるよう世界的な旅行ビジネスの関係者を招くと共に、シンガポールの旅行会社の能力を強化する。)
B 主要なイベントの定着(レジャーやビジネス、サービスの分野においてシンガポールを第一の目的地とするため、類型的または大きなイベントの魅力を高める。)
C 商品開発(戦略的な観光商品を開発する。)
昨年、シンガポールを訪れた訪問客数は830万人で、訪問客の国内支出は96億シンガポールドル(約6,144億円)に達し、訪問者の国別ではインドネシア、中国、日本、オーストラリア、マレーシアの順となっている。
また、チャンギ国際空港の昨年の利用客数は3,000万人を超え、過去最高を記録している。チャンギ国際空港は1981年の開港以来、利用客数が前年を下回ったのは、アジア通貨危機のあった1998年、米同時多発テロ事件が起こった2001年、新型肺炎SARSが発生した2003年の3年だけである。
今後、STBではTDFと連携しながら、ユニークな観光誘致策を発表していくものと思われるが、参考に、昨年1年間にSTBが実施した観光客誘致策を紹介すると、次の通りである。シンガポールのこうした取り組みは、静岡空港の開港を2009年に控える静岡県にも参考になると思う。
観光客誘致策 (イベント名) | 内 容 |
タクシー・ツアーガイド養成 | タクシー運転手がガイド免許を取得するための講座を実施し、コース終了後、免許を発行。タクシー運転手がタクシーで観光案内を提供 |
ユニークリー(Uniquely)シンガポール | シンガポールが持つ独特の文化・伝統・現代性の融合を前面に売り出すための広報戦略としての新しいキャッチフレーズ |
ユニークリー(Uniquely)シンガポール・ショップ・アンド・イート・ツアー | グーレート・シンガポール・セール(年に一度のブランド品等のディスカウントセール)やフード・フェスティバルに併せた買物と飲食をテーマにしたツアー |
ヒッポ(Hippo)ツアーズ *Hippo=かば(バスにかばの絵が描いてあって、背中に乗った感じです。) | 水陸両用車を使って観光名所を巡る「ダックツアー」に、新たにオープントップの2階建てバスを利用した乗り降り自由の観光名所巡りツアー |
マイ・ツーリズム・パスポート&プロジェクト・ポストカード | ユニークリーシンガポールの一環。スタンプラリーや、国内居住者に観光客誘致の広告をプリントしたポストカードを配布し、海外に投函させ、魅力を発信 |
ユニークリー(Uniquely)シンガポール・トランジット・アドベンチャー | チャンギ国際空港で乗り継ぎの待ち合わせ時間が4時間以上の旅客を対象に、無料の観光ツアー、地下鉄10回利用パス、買物・食事割引券等提供 |
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