東南アジア駐在員報告
2014年7月 社会・時事 駐在員 : 芦澤 裕之
6月1日から5日、マリーナ・ベイ・サンズの「サンズ・エキスポ・コンベンションセンター」において、「水」に関する国際イベント「シンガポール国際水週間(SIWW)」が開催された。
シンガポールは、水の供給を隣国マレーシアからの輸入に大きく依存してきたため、安全保障上の観点からも、水の自給率アップに積極的に取り組んでいる。
具体的には、シンガポール政府は、@貯水池A下水再生B海水淡水化Cマレーシアからの輸入水―という四つの調達源を確保する「四つの蛇口」政策を推進し、貯水池建設による集水可能地域の拡大、下水再生水(Newater)工場の建設、海水淡水化工場の建設といった国内の水調達源の多様化と強化を推進し、マレーシアからの輸入水依存からの脱却を進めている。
こうした中、今回の水週間の一環として開催された展示会「水エキスポ」には、過去最大規模の800社以上が出展し、国際パビリオン数も24に上った。日本からは、ジェトロが設置した日本パビリオンに27社・団体が出展したほか、沼津に営業所がある明電舎などが出展した。
展示会では、日本パビリオンの展示スペースが開催国シンガポールに次ぐ規模であったことに加え、単独で出展している日本企業も多数あったことから、環境ビジネスを成長産業に位置付けている日本の存在感を感じた。
一方で、この分野においても進出を目指す中国企業の動きが脅威に感じられた。中国パビリオンは会場入り口付近に大きく展開し、来場者に中国企業を印象付けていた。
また、中国の水処理事業会社「北控水務集団」は、水週間に合わせてシンガポールにおける国際統括本部の開所式を実施し、今後の投資計画をPRした。北控水務集団のシンガポールにおける受注実績はまだないということだが、その他の製造業と同様、水分野においても、今後中国企業が日本企業の大きなライバルとなると感じた。
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