東南アジア駐在員報告
2014年10月 社会・時事 駐在員 : 吉住理恵子
9月6日から1週間の日程で、浜松市にある聖隷クリストファー大学の学生がシンガポール研修に訪れた。同大学はシンガポールのナンヤン理工学院と2006年に交流協定を締結し、毎年、相互に学生の研修派遣交流を行っている。学生は、それぞれの学校でお互いの国の社会制度や保健医療制度を学ぶとともに、施設や病院の現場での研修を行う。
当事務所では歴代の駐在員が、シンガポールの社会・経済について話す機会をいただいており、今年は国際医療福祉大学の学生も含む40名余りにシンガポールの概要や社会制度等について講義をした。
シンガポールにおいても日本同様、少子高齢化が進展しており、合計特殊出生率は1.29(2012年)で日本(1.41)より低いことや、2016年には高齢化率が14%を超える高齢社会に突入すると予想されていることなどを紹介したところ、質疑応答時に、介護や医療を学ぶ学生らしく、この話題に関して、「シンガポールの健康寿命はどのくらいか」という質問があった。
世界保健機関(WHO)が発表した「世界保健統計2014」によれば、シンガポールの平均寿命(2012年)は男性が80歳、女性が85歳、平均は83歳である。日本は世界一の長寿国であり、平均寿命(同)は男性が80歳、女性が87歳、平均が84歳だが、健康寿命は日本が75歳なのに対しシンガポールは76歳。シンガポールのほうが健康寿命は長い。これは意外だったが、考えてみると健康寿命日本一の本県がその理由としてあげる@食生活が豊か、Aお茶をたくさん飲む、B元気に働く高齢者が多い、C温暖な気候、などの特徴は、シンガポールにもあてはまる。
シンガポールと静岡県は、産業政策として医療産業の集積に力を入れており、医療水準が高い点も共通している。本県には、医療だけでなく福祉分野でも、聖隷グループはじめ高いサービス水準のケア体制を持つ福祉施設も多くあり、高齢化問題が深刻化するシンガポールの人にとっては興味深いだろう。
医療・福祉の分野でも、聖隷クリストファー大学とナンヤン理工学院のような交流が広がり、深化していくことを期待したい。
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