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ヨーロッパ駐在員報告
1999年6月 社会・時事 駐在員 : 森 貴志
・ 統一前と後のドイツ青少年
ドイツ研究会(DFG:学術研究を行う中央政府出資の研究機関)が1990
年以降、教育学、社会学、心理学、政治学の研究者130人に依頼し、東西
地域の青少年1万人以上を対象に行ってきた調査プロジェクト「統一前と
後の青少年時代」の結果が発表された。
それによると、家庭では東地域の母親の方が子供のしつけに厳格で、東
地域の子供は男女ともに西地域の子供よりよく手伝っていることが明らか
になった。また、東の青少年は統一後、西の青少年同様に「学校の成績が
個人の能力の全てではない。」と考えるようになったとしている。
一方、社会生活に関しては、東の青少年は個人の不遇を社会の共同責任
にすり替える傾向があり、統一によって変化した社会への適応が困難にな
っているという。しかし、ドイツの青少年は東西にかかわらず職業資格を
重視するなどの点では、分裂前から同一の文化基盤を持っていることが改
めて明らかになった。
研究者は、「東西の差と見られている青少年の様々な違いは、むしろ出身
階級や家族構成によるところが大きい」と指摘している。
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