ヨーロッパ駐在員報告
1999年12月 社会・時事 駐在員 : 森 貴志
ナチスの略奪美術品を返却
ドイツ連邦政府はこのほど、第二次世界大戦中にナチスが略奪した美術品リストをインタ−ネットを通じて公開すると発表した。
ナチスは、1933年から1945年の間、主にユダヤ人から多数の美術品を没収・強制買収し、オーストリア・リンツに開設したナチス文化センター「ヒトラー総統博物館」に集めていた。今回の措置は、「リンツ・コレクション」の名で知られるこれらの美術品を、元の所有者やその遺族に返却することが狙い。インターネットでは、美術品のデータだけでなく、現在の保管場所も公開される。連邦政府によると、数か月後にはデータを完全に把握できるそうである。
リンツ・コレクションは、絵画や彫刻、書籍など計13,000点に上り、うち1,500点は16〜17世紀のイタリア・オランダ絵画など非常に価値のあるものである。戦後、占領軍によって没収・保管されたが、これまでも個々の美術品について元所有者が名乗り出た場合には審査を経た上で返却されていた。
連邦政府は1年前にワシントンで開かれたホロコースト資産をめぐる会議で、今後も略奪美術品の捜索と元所有者への返却に尽力すると約束、今回の措置はこれを受けて行われた。
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