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ヨーロッパ駐在員報告
1999年11月 政治 駐在員 : 森 貴志
ドイツ社会民主党(SPD)と90年連合・緑の党によるシュレーダー政権が10月27日に発足から1年を迎える。高い支持率を背景に順風満帆の船出であったが、相次ぐ地方選での敗北や与党内対立で基盤は弱体化。連立の崩壊や組替えを予想する声も出ている。
SPDと緑の党は、昨年9月末の連邦議会で(下院)選挙で過半数を制し、16年続いたコール政権を打倒。「原発廃止」、「二重国籍容認」など斬新な政策を盛り込んだ連立協定は、新しい時代の到来を予感させた。
しかし、今年2月のヘッセン州議会選挙で敗北し、同州で政権を明渡したため、州政府代表で構成する連邦参議院(上院)で連立与党は過半数割れに転落。秋に行われた州議選5連敗で、与野党の差は更に広がっており、野党との妥協なしには政策運営が進まない自体に陥っている。
さらに左派右派の対立によりSPDの支持率が悪化し、野党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)との支持率の差は更に開いており、SPDと緑の党に間にも不協和音が絶えない。
与野党とも連立組替えには否定的だが、失業対策や重要改革など山積する課題を前にCDU・CSUの協力なしには何も進まない現状を受けて、財界からは「改革推進のために大連立を」との声もあがっており、シュレーダー首相にとって苦難の舵取りが続きそうである。
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