韓国駐在員報告



2018年8月 社会・時事
駐在員 : 小関 克也


韓国鉄道公社(KORAIL)は、仁川空港とソウル駅間の韓国高速鉄道(KTX)の運行を8月末で終了すると発表した。これにより、仁川空港と釜山(プサン)・大邱(テグ)・光州(クァンジュ)などの地方都市を直接結ぶKTX路線は、開通から僅か4年余で無くなることになる。
仁川空港はもともとソウルとは空港鉄道で結ばれていたが、空港鉄道とKTXは仕様が違い路線の接続もされていなかったため、地方都市からKTXを利用して仁川空港に向かう場合には、ソウルで必ず空港鉄道に乗り換える必要があった。そこで、地方都市への移動を容易にする目的で3,031億ウォン(約304億円)を投じ、接続線を設けるとともに空港鉄道の路線をKTXが通れるよう改良するなどし、2014年6月にKTXによる直通列車の運行を開始した。
しかし実際に運行が開始されると、料金が高くて時間もかかることが判明した。例えば、釜山駅からKTXでソウル駅まで行き、そこから空港鉄道に乗り換えれば6万7,300ウォン(約6,750円)で済むものが、釜山駅からKTXの仁川空港行き直通列車に乗った場合、7万2,100ウォン(約7,200円)かかる。また、ソウル駅から仁川空港駅までは空港鉄道の直行(ノンストップ)列車では43分ですむものが、KTXでは乗換の手間はないものの約50分かかっていた。
結果、KORAILによれば、昨年ソウル駅・仁川空港駅間の空港鉄道を利用したKTXの乗客は一日平均3,433人で、この区間に一日に供給されるKTXの座席(約15,000席)の23%に過ぎなかった。10席のうち8席は空席で走っていたことになる。
一方、もともとあった空港鉄道は、2007年の開通当時の利用客は1日平均13,000人に過ぎなかったが、17年1月には同22万人まで急増した。KTXの廃止に伴い、路線運航に余裕ができることから9月1日からは運行本数を増やし、利便性を向上させるとのことである。
KTXの仁川空港延伸については、計画当初から費用対効果の面で疑問符がつけられていた。平昌五輪の輸送手段としての活躍も期待されていたため、五輪期間までは目をつぶってもらえていたようであるが、終了後には、わずか数か月で廃止ということになった。決定の速さはいかにも韓国的というべきか。

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