韓国駐在員報告
2012年10月 経済 駐在員 : 澤井亨
韓国産業技術振興協会等は、平成22年の韓国の技術貿易収支比(0.33)が OECD加盟25か国の中で最も低かったことを明らかにした。
技術貿易収支比は、技術輸出額を技術輸入額で割った率で、1を上回ると輸出超過、1未満の場合は輸入超過を意味し、韓国は大幅な輸入超過であった。
IT及び自動車産業等における応用技術分野での競争力の高さを誇る韓国だが、源泉技術の対外依存度が高い。そのため、ファスト・フォロワー(fast-follower。素早い追従者の意味)からファースト・ムーバー(first-mover。先導者の意味)への転換が必要との意見が出始めている。国内企業等の研究開発事業を評価する韓国科学技術企画評価院の担当者は、成果第一主義から脱却し、失敗を恐れない研究文化を普及させることが、制度的、行政的支援よりも重要だとの見解を示している。
〈技術貿易収支額及び技術貿易収支比〉 (単位:億円)
| アメリカ | ドイツ | イギリス | 日本 | 韓国 |
技術輸出額 | 8兆4,600 | 4兆8,600 | 3兆8,000 | 2兆4,366 | 2,940 |
技術輸入額 | 5兆8,000 | 4兆 200 | 2兆1,000 | 5,301 | 8,980 |
技術貿易収支額 | 2兆6,600 | 8,400 | 1兆7,000 | 1兆9,065 | △6,040 |
技術貿易収支比 (順位) | 1.46
(7位) | 1.21
(9位) | 1.81
(5位) | 4.60
(1位) | 0.33
(25位) *OECD加盟国のうち、平成 |
22年における統計が得られた25か国の数値から算出
なお、技術貿易収支比の上位10か国は次のとおり。
日本は、2兆4,366億円と技術輸出額はアメリカ、ドイツ、イギリスに及ばないものの、技術輸入額が5,301億円と少ないため、収支比は4.60となりOECD25か国中、第1位であった。
どこの国から技術を輸入しているかを示した国別技術導入依存度について、日本と韓国の比較をすると、ともに多くの部分をアメリカに依存していることがわかる(日本76.0%、韓国57.4%)。他方、日本はヨーロッパ各国に2〜3%程度依存しているのに対し、韓国は日本に対して12.3%と大きく依存している。
アメリカからはIT技術を、日本からは機械関連技術を導入しているため、韓国の日米両国への依存度が高いと韓国ウリ投資証券は分析している。
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