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東南アジア駐在員報告2003年6月 政治 シンガポール 災いを転じて、更なる魅力ある都市へ 矢継ぎ早の対策
これまでの感染者数は、前月のトピックス報告時と比べ、感染者は2人増加し、206人、死者は4人増加し、31人である。初期の感染拡大地域であったため、死亡者が比較的多いことが残念な結果となった。 しかし、災いを転じて、更なる魅力ある都市となるため、政府は矢継ぎ早に対策を発表した。 まず、6月3日には、カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナムの4カ国に対する新型肺炎SARSに対する支援事業を発表した。その内容は4カ国の保健、検疫、入国管理の政府高官をシンガポールに招いてのセミナー開催や、体温感知器の寄付を行うというもので、SARS制圧に成功したシンガポール政府が先頭に立ち、これまでに得た経験を東南アジア諸国連合(アセアン)の新規加盟国に伝授するというもので、危機管理への信頼性を得た国シンガポールを宣伝する意味でも、大きな意義がある。 次に、SARSの影響で利用者数が大幅に落ち込んだチャンギ空港の集客を図るため、「航空輸送発展計画」と称して、向こう4ヶ月にわたり1,000万シンガポールドルを投じるという計画である。また、こうした対策と同時に、政府はSARS封じ込めにかかわった医師、看護婦などの医療従事者を建国記念日(8月9日)に表彰するとして、国民への配慮も忘れていない。 こちらに赴任した4月上旬からこれまで、ずっと安心感を持って生活することが出来たシンガポール政府の対応に敬意を表したい。 |
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