中国駐在員報告
2014年5月 行政 駐在員 : 井口真彦
新聞報道によると、上海市当局が、企業などに対する工業用地の譲渡期間を現行の50年から原則20年に短縮するなど、工業用地譲渡契約に関する新規定を定めたとのことである。「工業用地の節約利用を強める」のが目的で、新たに造成された用地に対して適用され、7月1日から施行される。ただ、「特に要求のある」上海市の重点産業項目の場合は関係部門の承認を経て、20〜50年の間で定めることが可能とされている。
また、譲渡契約から工場稼働までの期限も設けられた。契約後、6カ月以内に工場建設に着手しなければならず、竣工は2年以内とされ、これが守られない場合、土地の使用権が取り上げられることもあり得るという。
以前、浙江省杭州市内の経済開発区に約20年前に進出した企業に対する当局からの移転要請の案件に関わった際、JETROの専門家から、50年間の使用権を記した契約書の重要さを指摘された。補償金などの交渉をより有利に進めるためである。
経済発展が速い中国では、20年も経てば状況は一変する。今回のような新規定が他の地域にも適用されることになると、このような移転要請への対応が更に難しくなる恐れがある。経営者には、先見の明がより必要となりそうである。
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