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ホーム > 交流・まちづくり > 国際交流 > 地域外交課 > 海外駐在員報告 > 東南アジア駐在員報告

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東南アジア駐在員報告

2001年10月 政治
駐在員 : 岩城徹雄


    ・アメリカ同時多発テロ、各国への影響と対応(105日現在)
     911日にアメリカ・ニューヨークで発生した同時多発テロにつき、報復軍事行動への各国の対応なども含め紹介する。

      ・ インドネシア
       2億人近くのイスラム教徒を抱え世界最大のイスラム国とも言われるインドネシアでは、一部のイス ラム組織が、アメリカが報復軍事行動を起こした場合にはアメリカ関係施設への襲撃とアメリカ人の一掃を行うとの警告を発し、緊張が高まっている。また、9月下旬には、首都ジャカルタのアメリカ大使 館前やスラバヤの同領事館前などで数百人規模の反米デモがあり、警察との衝突も発生した。このよ うな動きを受け、アメリカ国務省は927日にアメリカ国民に対してインドネシアへの渡航延期勧告を出すとともに、インドネシアに在留する政府職員と家族の出国を承認、民間人についても国外退避を  含め適切な措置をとるよう勧告している。
       駐インドネシア・アメリカ大使が、対米批判行動を抑えられないインドネシア政府を批判したのに対  し、インドネシア閣僚からは、デモは合法的で警備も法に従って行われている、イスラム国がテロを起 こしたかのような言い方はよくないとの批判が出ている。
       アメリカを訪れたメガワティ大統領は919日にブッシュ大統領と会談しテロ行為を強く非難したが、 報復軍事行動への支持については明確にしなかった。他のイスラム国との関係などから積極的な支  持表明は避けたと見られ、インドネシアの協力は情報提供程度にとどまるものと思われる。なお、今回 の会談では、東ティモール分離をめぐって両国が対立して以来とられてきたアメリカからインドネシアへの武器輸出禁止措置を非致死性兵器に限り解除すること、石油ガス部門への投資などのための65500万米ドルの支援を行うことなどが話し合われた。
       ブッシュ大統領からは、緊張したこの時期に世界最多のイスラム教徒人口を抱える国の首脳が訪  れたことに対し評価が述べられた。
      ・ マレーシア
         人口の6割近くをイスラム教徒が占めるマレーシアも、複雑な状況に置かれている。事件後、アメリ カ港湾当局がとった治安対策でマレーシア人船員も上陸が禁止されたことや、事件関係者の引渡しを 要求した国の中にマレーシアが含まれていることなどにつき、国内からはアメリカに対して反発の声が あがっている。ブッシュ大統領は、10月1日のマハティール首相と電話会談の中で、武力行使の対象はテロリストでありイスラム教ではないことを改めて強調した。
       政府は、テロリストの捜査に当たっては全面的な協力をする方針であり、国内でのイスラム急進派の政治的な勢力拡大に悩む与党連合でも、イスラム原理主義との結びつきによる急進勢力の伸張を警戒している。警察当局も国内の原理主義グループの捜査を進めているほか、事件の首謀者とされるビンラディン氏関係者の偽名口座がマレーシア国内にあるのではないかとの疑いもあるため、中央銀行や金融機関などに対し調査を依頼している。
       マハティール首相は、反テロについてはアメリカを支援するものの、報復行動については無実の人が犠牲になることを指摘し、反対の姿勢を示している。また、国防相は、報復軍事行動に対してのアメ リカ軍のマレーシア軍事基地使用について、アメリカからの要請はないと信ずる、として使用の可能性がないことを示唆している。
      ・ フィリピン
         アロヨ大統領は、9月26日、「反テロリズム行動指針」を発表し、予想される報復軍事行動への派兵も明確に打ち出した。国際社会からの要請があれば多国籍軍への派兵を実施するという骨子のほか、反テロの国際社会に加わり国連とともに行動、情報交換や安全保障でのアメリカとの協力、領空通過と施設(旧アメリカ軍基地のクラーク空港とスービック港ほか)使用の承認、食糧・医療品の供給・運搬と医療スタッフの派遣などが盛り込まれた。
         また、マネーロンダリング防止法も成立させ、ミンダナオ島地域で外国人の誘拐事件などを起こしている国内の過激派についても資産調査を始め、凍結に向け動き出した。
      ・ タイ
         タクシン首相はテロ根絶に対する協力を惜しまないとしているが、国内には南部中心にイスラム教 徒もいることから、政府内部でも意見が割れている模様。タイには東部チョンブリ県にウタパオ空軍基地があり、この施設はベトナム戦争や湾岸戦争の際、米軍の物流拠点として利用されたことがある。アメリカの報復軍事行動が行われ中東方面への物資輸送が太平洋ルート経由となる場合、アメリカはこの基地の使用をタイに求めるものと考えられており、水面下で交渉が始まっているとの情報もある。
        しかし、国内のイスラム教徒に配慮すべきとか、行き過ぎた協力は自国をテロの危機にさらすだけといった意見も外相経験者から出るなど、反対意見も多い。9月24日にブッシュ大統領と電話会談を行ったタクシン首相は、具体的な支援策は話していないとし、ウタパオ基地使用についても否定的な見解を表明している。
      ・ シンガポール
         国民の約17%がイスラム教徒のマレー人であるシンガポールでは、マレー系国民への嫌がらせがおきるなど難しい状況にある。テロの犠牲者の追悼集会に各宗教の代表者が参加し国民の団結を促すなど、政府では落ち着いた対応を求めている。リー・シェンロン副首相は、シンガポールも国際社会 のメンバーとして世界的な反テロ対策に参加することを表明しているが、具体的な手法についてはふれず、軍事行動によるテロの撲滅はむずかしいとの見方を示している。政府系の英字紙も軍事行動に慎重論をとなえるアジア各国の識者の意見を紹介している。
       国内は、アメリカの石油関係会社のある工業団地へのタンクローリー等の入場チェックが厳しく行われている。インドネシア方面への荷を扱う運送会社関係者は、荷の動きが遅く営業に大きな支障が出ていると語っている。
       当事務所が入居するオフィスビルの1階にはアメリカの航空会社の支店が入っているが、事件後、拳銃を携帯した警備員1人が常時警戒に当たっている。


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