ここから本文です。
中国駐在員報告2005年9月 社会・時事 今年4月の中国国内の反日抗議運動により、訪中する日本人の観光客は激減した。対前年同時期と比較して、
2004年の1年間で1億90万人、2002年の海外観光客数9,791万人と比べてみると、2年間で約300万人の増加である。 それでは日本への観光客についてはどうかと言うと、まず中国において海外への観光旅行が認められたのは1997年 で、日本への団体旅行が解禁されたのは2000年9月13日その対象地域は北京市、上海市、広東省の2市1省である。 その後2004年9月15日より、新たに遼寧省、山東省、江蘇省、浙江省、天津市の4省1市が追加された。今年の7月 25日中国全域に拡大され、全ての省及び市が認められた。 7月25日以前に認められた5省3市の月収5,000元以上の800人に対して、旅行に対する関心度調査によると、男性 より女性のほうが旅行に対する興味が強く、特に日本に対しては20ポイント以上女性のほうが強いとの結果が出ている。
な要素である収入は全体の67%が月収10,000元以下であり、また月収7,000元以下が43%である。 上海における日本への観光旅行の内容を調査すると、定番コースである大阪・東京のin・outで5泊6日、金額的に は5,000元から9,000元位で、高い金額のコースから完売するとのことである。*注1,2 上海市内の旅行社の幹部の話によると「日本観光は富士山・温泉・新幹線・秋葉原(電気街)に行きたい人が圧 倒的に多い」とのことであり、「将来的には定番より、個性的な旅への市場を開拓しなければならない」とのこと である。確かに一部には「温泉で連泊してのんびり」との願望はあるが、現実的には定番コースがビジネスとして 成立している。高額ツアーは、例えば12,000元以上で「ヨーロッパ10日間」が発売されており、日本向けはやはり 10,000元以下が主流と思われる。ただ、上海においての販売価格が10,000元以下となると日本国内5泊6日での旅行 は宿泊・交通手段ともレベルの高いものを望むことは難しいと思われる。 富裕層をターゲットとすることを日本の観光業界は考えているが、富裕層は既に何度も訪日しており、団体観光 の制限を受けない短期商用ビザでの訪日を行っているため、日本への団体観光を望んでいない。彼らの方向はヨー ロッパで、「中国人の欧州旅行は価格ではなく、質に変わってくるだろう」と中国の旅行関係者は考えている。日 本への観光誘致の鍵は「長期滞在で日本の文化やイベントを楽しめるプラン」を富裕層にどのように提案するかが 課題で、今後これらに対する市場開拓のための手法を検討する必要があると思われる。 * 注1 上海等経済発展地区8地区の勤労者平均月収約1,600元 中小企業社長の月収10,000元 大企業の部長クラス月収7,000元 大企業の課長クラス月収5,000元 大学の教授 月収4,000〜5,000元 * 注2 1元 = 約14.5円 |
お問い合わせ