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東南アジア駐在員報告
2002年2月 政治 駐在員 : 岩城徹雄
・マレーシア、インドネシア人労働者の削減へ
マレーシア政府は、国内のインドネシア人労働者の削減を発表した。就労許可の期限が切れたインドネシア人とは再契約せず、他国の外国人労働者を雇用するように指導していくというもの。
ことの発端は、1月17日にマレーシア・ネグリセンビラン州の工業団地にある繊維工場で、インドネシア人労働者の麻薬常習者摘発で約400人の規模の暴動が発生したことによる。19日には約1000人規模のストライキがあり、20日にはインドネシア人建設労働者約70人が首都近郊の市街地で刃物などを振るって暴れるという事件も続いた。01年12月には、マレーシア南部のジョホール州でインドネシア人が主になった密入国者の暴動も起きており、続発する問題にマレーシア政府が対策に踏み切った形である。外国人単純労働者に対しては入国管理を強化し、冒頭のように特にインドネシア人について削減していく方針となった。
公式発表ではマレーシア国内には01年9月の時点で約79万人の外国人労働者がいるが、このうちインドネシア人が74%を占めている(密入国など不法労働者を含めると300万人もの外国人労働者がいるともいわれる)。マレーシアの労働市場では製造業、プランテーションでの雇用が多いが、マレー語とインドネシア語はほとんど共通しており言葉によるコミュニケーションには問題がなく文化的背景も近いことからインドネシア人は重要な労働力となっている。マレーシア国内からは、インドネシア人労働者の削減・他国人への切り替えは、経済的な影響が大きいとする反対意見も出ている。インドネシアから見ても、マレーシアは大きな労働市場であるため慎重な対応を求める声があがっている。
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