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ホーム > 交流・まちづくり > 国際交流 > 地域外交課 > 海外駐在員報告 > 東南アジア駐在員報告

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東南アジア駐在員報告

2003年2月 その他
駐在員 : 岩城 徹雄


インドの社会経済状況

    1月下旬にインド南部のチェンナイ(マドラス)、バンガロールを訪れ、日系企業、JETRO投資アドバイザーほかの話を聞く機会を得たので概要を報告する。
    10億人の人口を抱えるインドは、2000年の実質GDPが11兆9,390億ルピー(約2,500億米ドル)、前年比5.4%(暫定値)の伸びであった。インフレ率や人口増加率を考慮した場合、インドのGDPは5%以下では不況とみるエコノミストが多く、前年が4.0%の伸びであり、02年は5〜6%と見込まれていることから、横ばいといったところである。GDPの構成比で見る産業構造は一次産業が約27%、二次産業が約26%、三次産業が約47%であるが、就業人口では農業従事者が一番多い。
    外国からの投資は96年(113億3,800万米ドル、承認ベース)をピークに減少傾向にある。01年には30億4,300万米ドルが承認されたが、人口の大きさに比べるとわずかな額といえる。これは、高い関税や法人税、インフラの未整備、労働者に有利な労働法規など、外資の輸出産業が参入しにくい背景がある。
    インドでは、各州政府の権限が強く、中央政府により定められた法制度の運用、実施が州政府に任される分野が多い。外国からの投資誘致にも州により積極性に差があり、現在では南部のアンドラプラデシュ、カルナタカ、タミルナドゥなどが積極的である。インドのシリコンバレーと呼ばれるバンガロールがあるカルナタカ州には、テキサスインストゥルメンツやシーメンスを始めとするアメリカ、ヨーロッパのIT企業やトヨタなどの日系メーカーが展開している。アンドラプラデシュ州のハイデラバードにも米マイクロソフト社を始めIT企業が多く、チェンナイ(マドラス)のあるタミルナドゥ州にも地場系のソフトウェア企業のほか、日系の自動車部品、家電メーカーなどが操業している。インドへの展開を考えている外国企業は、州政府の誘致活動等の動きをよく見極めることが重要とのことである。
    インドでは10億の人口のうち納税しているのはわずかに3,000万人といわれるが、中間所得者層は確実に広がりを見せてきている。テレビは現在23〜24%の普及率であるが、ほとんどが白黒で、カラーテレビが徐々に売れるようになってきている。日本で「3C」といわれた時代があったが、その頃のようだとの話も聞かれた。自動車は国内全体で年産60万台、二輪車は500万台が国内向けに生産されている。自動車は法人所有目的のものが多く、1,000ccクラスのものが60%近く、800ccクラスのものを合わせると9割近くを占め、小型車のシェアが圧倒的である。二輪は100ccクラスのものが主流で、環境に配慮した4ストロークのものが売れ行きはいい。二輪車は、税金を払わなくていい農民層にどれだけ広げられるかがポイントのようである。四輪、二輪ともにマーケット拡大の可能性は大きく、各日系メーカーも増産を計画している。家電では、日系メーカーがインドマーケットの様子見をしている間に韓国勢がシェアを広げたようである。
    インドでは、もともと軍需産業での独自の技術があり、100%国産の自動車も生産していることから、サポーティング・インダストリーもレベルが上がってきている。ただ、品質管理、コスト、納期という点ではまだ改善の余地が残されている。ワーカーは手先も器用で個人の能力は高いが、チームワークで仕事をするという教育を受けておらず、また、トップダウンで指示がないとなかなか動かないとのこと。南部では宗教心があつくおとなしくて控えめのようだが、楽天的で責任があいまいになることも多いようである。
    外国企業からの要望としては、インフラ、税制、会社法などの整備が挙げられている。電力供給は不安定で、自家発電をメインにしている工場が多く、製品、原材料の搬送などロジスティックでも不十分なところが多い。前述のとおり、税収入を得る層が限られているため関税が高く、5、15、25、30%の4つの体系に加え追加税もあり、実質的には60%になる。法人所得税はインド企業が36.75%に対し外資企業は42%と高くなっている。また、地場企業と合弁を解消した後、同じ業種で100%外資の企業を設立しようとする場合にはもとの合弁企業の許可を得なければならない規定などもあり、国内産業や企業保護の考え方が強いようである。インド政府も改革を表明してはいるものの、そのスピードは遅いとの不満も聞かれた。
    チェンナイの町の様子は、通りには自動車やバイク、人、また、物もあふれ、活気がありにぎやかであった。バンガロールへは00年8月以来2回目の訪問であるが、前回は暴動の直後ということもあり中心部は暗い印象であったが、今回は、街はネオンなどで明るく彩られ、店には服や食品などの商品が豊富に見られ非常に明るくなった感じがした。郊外にあるインド第3位のソフトウェア企業WIPRO社の本部も訪れたが、緑の空間を広くとった敷地内に近代的なデザインの建物を配し、インドのシリコンバレーと呼ばれる当地のソフトウェア産業の好調ぶりが印象付けられた。
    チェンナイでもバンガロールでも、町の中心部の主要な通りから脇道へ入れば未舗装の狭い道路が多く、電話や電気なども十分には通じないところもあるようである。中心部から郊外へ通じる道路は舗装されていないところもあってほこりっぽく、また、幹線道路には工事中のものもあり、インフラ整備が課題との日系企業の指摘が納得できる光景が多かった。


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