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東南アジア駐在員報告
2006年4月 経済 駐在員 : 獅倉浩
日本では、ここ数年来、多数の不動産投資信託(REIT※1)に資金が集まり、不動産への投資が続き、その結果不動産価格の上昇、不動産バブルの再来を懸念する声も聞かれている。ここシンガポールにおいても不動産投資信託が活況で、これらによる商業施設やオフィスビル等不動産への投資が盛んに行われており、日本企業の中にもこのような状況を捉えて、不動産投資信託への出資に乗り出す企業が現れ始めた。
シンガポールでは、2002年7月に第1号の不動産投資信託が上場されて以来、昨年末までに7銘柄が上場し、時価総額は70億US$(約8千億円)であった。今年になってからも、既に2銘柄が上場し、更に今後6銘柄の上場が予定されている。当地は、アジア太平洋地区において、日本、オーストラリアに次ぐ第3の市場であり、シンガポール市場は5年後の2010年には現在の時価総額の3倍以上、250億US$(約3兆円)に成長すると、スイスUBS(※2)が予想している。
投資物件は、日本と同様にオフィスビル、商業ビル、工業用ビルなど様々だが、現在上場されている不動産投資信託9銘柄のうち4銘柄は、外国企業が運営していること、オーストラリア、香港、中国や東南アジア諸国などシンガポール国外の物件に数多く投資していること、ある投資信託ではシンガポール国内の不動産には全く投資していないということなどから、シンガポールが経済発展を続けるために、上手に外資と付き合っている姿勢がこのようなところでも感じられる。
※1 不動産投資信託(REIT)とは、投資家から集めた資金を主として不動産等(不動産証券化商品を含む。)で、運用する投資信託のこと。
英語のReal Estate Investment Trustの頭文字をとって、「REIT(リート)」と呼ばれている。
※2 スイスUBSとは、スイス三大銀行のうち、最大手のスイス・ユニオン銀行(UBS)のことである。
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