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東南アジア駐在員報告
2000年10月 経済 駐在員 : 岩城徹雄
米マイクロソフト社ビル・ゲイツ会長、マレーシア、インド訪問
マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長は9月13日にマレーシアの新行政都市プトラジャヤでマハティール首相と会談し、同国のIT推進政策マルチメディアスーパーコリドー計画(MSC)への支援を表明した。
ゲイツ会長が出席し同日開所式が行われたマイクロソフト社の現地法人マイクロソフト・ノレッジ・キャピタルセンター社は、マレーシア政府や地元ハイテク関連企業と連携し、ソフト開発の専門家やベンチャー企業を育成する目的で設立された会社。首相との会談で会長は、「マレーシアの知識集約型経済の推進とMSCを成功させるため、多くの人材を育成できるよう協力したい」と語った。また、MSC内に立地するマルティメディア大学に対しては、研修プログラムや施設の共同開発プロジェクトを実施する覚書を締結し、今後5年間に1,000万リンギ(3億円弱)の投資計画があることを明らかにした。マレーシアでは、ソフトビジネス世界一のマイクロソフト社が進出したこと自体がMSCの評価につながると、好感をもって受け止められている。
このあと14日に、ゲイツ会長はインドのハイデラバードを訪問し、同地のマイクロソフト社のソフトウェア開発センターに新たに5,000万米ドルの追加投資を行い、IT関連技術者の雇用も増やすことを表明した。インドの大手ソフト企業との製品開発での提携も明らかにしており、対インドビジネスの拡大を図っていく様子である。
マレーシアのMSC計画では、外資100%出資可能、法人税10年間免除などの優遇措置を設け外国のハイテク企業を誘致している。投資可能な要件(ステータス)を取得した外国企業は400社近くに上っているが、実際に立地しているのは日本のNTTも含めごくわずかである。本年5月に、MSCの中心地サイバージャヤを実際に訪れた感じでは、広大な野原に広い道路だけが整備されていて、建物はほとんど見られないという状態であった。地元タクシーの運転手も、アクセス道路の付け替え工事が頻繁に行われていたためか、道に迷ってしまうほどであった。マイクロソフト社の投資により、今後の活性化が期待される。
インドのIT事情については、別項を参照されたい。
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