韓国駐在員報告
2019年9月 経済 駐在員 : 野原 靖
日本の3品目輸出管理強化を受け、韓国では半導体分野に限らず様々な素材・部材の安定調達に向けた課題が浮き彫りになった。これを受け、韓国政府は2020年度の研究開発(以下、R&D)予算を増額する見通しである。韓国科学技術情報通信部が発表した「2020年度(1〜12月)国家研究開発事業予算配分・調整案」
によると、来年度は国のR&D事業に今年度比2.9%増の16兆9,000億ウォン(約1兆6,000億円)を投入するそうだ。R&Dの分野としては、全産業に関連する基礎研究のほか、3大重点産業(システムLSI/大規模集積回路、未来型自動車、バイオヘルス)、中小企業や地域産業分野その他雇用創出や国民健康分野、環境分野など多岐にわたる。
韓国大手企業に勤務する日本人技術者に伺ったところ、R&Dは「成果」=「研究時間」×「研究予算」×「携わる人材規模」と表現されるそうだ。韓国のR&Dは短期的に収益が取れる分野に集中し、数十年単位の研究は後まわしにされがちのため、「研究時間」やR&Dに長けた「人材」の面で課題があると指摘する。
実際、日本人技術者のヘッドハンティングは続いており、静岡県内の事業所出身者と韓国で出会うことも非常に多い。韓国におけるR&D強化により、今後、さらに本県の人材流出の懸念も考えうるが、言い換えると、本県にはそれだけ研究に長けた人材が多数いるという強みでもある。人材面で本県と韓国企業の接点を見出し、関係機関と連携して本県の次世代産業育成に繋がるきっかけや可能性を探っていきたい。
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