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東南アジア駐在員報告
2001年6月 政治 駐在員 : 岩城徹雄
・インドネシア、大統領弾劾審議は8月1日
インドネシアの国会が5月30日にワヒド大統領の弾劾手続きを進めることを決定したことを受け、国権の最高機関である国民協議会(MPR)は弾劾の特別会議を8月1日に開催することを決めた。MPR特別会議では、大統領に2度の責任演説の機会があるが、これが否決されると弾劾が成立し、副大統領が昇格することになっている。アミン・ライスMPR議長は、8月1日以前に大統領が非常事態宣言をするなど特別の事態があれば、この日を待たず前倒し開催もありうるとの見方を示している。
ワヒド大統領は、弾劾手続きの進行に納得せず、5月30日の国会を前に「非常事態宣言」を出し国会を解散する策をとることも予測されたため、国内には緊張感があふれた。非常事態宣言には至らなかったものの、6月1日には4人の閣僚を解任したほか、国家警察長官を停職処分にするなど強行措置をとっている。当初、解任処分とされたビマントロ国家警察庁長官は、国会の議決がないことを理由に解任を拒否し、停職処分となった後も職にとどまっており、大統領からの警察の離反が明らかになってきている。
筆者が、5月末に東ジャワのスラバヤに展開している県関係企業の駐在員に電話で状況を聞いたところ、大統領の出身地である同地域では、大統領支持派が反支持派の建物にデモを行ったり放火をしたりという事件も起きているが、国軍や警察など警備を万全に固めており今のところ(5月末時点)、それほど大きな暴動などは起こっておらず、操業停止までは考えていないとのこと。また、在ジャカルタの日系金融機関の駐在員との電話では、地方から大統領支持者が武器を持ち込むのを防ぐため、国軍や警察が駅などで厳しいチェックをかけているとのことである。
国軍や警察が大統領から距離をおき、治安維持に努めていることで平静が保たれているが、今後の動向から目が離せない。
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