中国駐在員報告
2018年6月 社会・時事 駐在員 : 石井 亘
国家統計局は毎月全国主要都市の不動産価格の動向を発表しており、4月の全国主要都市の新築住宅価格の前月比上昇率は、海南省の海口市と三亜市が前月比1.9%、遼寧省の丹東市が同2.0%と高い上昇率となった。海南省の2市の上昇は同省に関する経済開放政策(今後自由貿易地区に認定)発表に起因したものであるが、丹東市の上昇は3月より進展している北朝鮮問題に関連した投機的な意味合いが強いと分析されており、北朝鮮問題の先行きとあわせて議論となっている。
丹東市の新築住宅価格が4月に上昇したのは、北朝鮮の核兵器放棄、経済改革推進が実現し、同国と隣接している優位性から経済発展するという期待からである。このことは北朝鮮と鴨緑江(おうりょくこう)に沿って接した新開発区域の住宅価格が高騰した一方、市内の他地域の住宅価格が変動していないことからも明らかである。
一部では北朝鮮の経済改革が進展することで、丹東市が中国の改革開放施策により過去40年間で飛躍的に発展した深圳市のようになるのではないかとの期待もある。その一方、北朝鮮情勢が日々変わる中、丹東市の今後の展望は不透明であり、同市への不動産投機は失敗に終わると考える人も多い。
日付別一覧 地域別一覧 分野別一覧
|