東南アジア駐在員報告



2022年4月 政治
駐在員 : 福田 渉


 2021年2月にミャンマーで国軍によるクーデターが発生してから1年以上が経過した。この間、現地に進出する外資企業は事態を注視しながら事業の継続か撤退かを検討してきた。国軍系企業との繋がりによって、現地での企業活動が結果的に人権弾圧を続ける国軍側を利することになっていないか、説明責任が問われている。
 この1年で国軍系企業との合弁解消や事業の停止または見直しなどを行った非日系の大手外資は10社以上にのぼる。日系企業の撤退も相次いでいる。ENEOSホールディングスと三菱商事が、経済産業省とともに参加した天然ガス採掘事業から撤退する方針を固めた。国軍系企業と合弁でビール会社を運営していたキリンホールディングスも持ち株を全て手放すことを発表した。
 ただし、撤退も容易ではない。事業を売却する相手先は限られており、さらに全権を握る国軍の承認を取り付けなければならない。ノルウェーの通信大手テレノールはレバノンの企業に現地法人の全株式を売却しようとしたが認められず、結局、この会社と国軍系企業が設立した合弁会社に売却された。利用者1,800万人の個人情報についても譲渡後の濫用が懸念される。現地でKDDIとともに通信事業を行っている住友商事は、両社の活動が「ミャンマーの人々の生活や経済活動に欠かせない通信サービスを技術・営業面から支援する観点のみならず、人権尊重を図るという観点でも、プラスの影響がある」と事業継続の説明をしている。

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