馬込川水系は、天竜川により形成された扇状地状の沖積平野を流下し、途中、御陣屋川や芳川等の支川と合流し、遠州灘に注ぐ二級水系であり、流域の上流部には郊外の田園地帯、中流部から下流部にかけては浜松市の中心市街地が広がっています。
流域内では、これまでに段階的な河川整備が行われてきたものの、治水安全度は未だ十分ではなく、流域内に点在する低地部においては地形的な要因から、今なお内水被害が多発しています。また近年では、水位観測地点松江において3年連続ではん濫危険水位を超過し、避難勧告が発令されるなど、気候変動に伴う局地的豪雨等により、甚大な被害の発生がこれまで以上に危惧されるとともに、下流域では南海トラフ地震に伴う津波による甚大な被害も想定されており、災害に対する安全性の向上が強く望まれています。
一方、馬込川を流れる豊かな水量により形成された水辺は、地域の身近な空間であり、散策や憩いの場として利用されたり、地域住民が主体となった河川美化活動が行われるなど、貴重な水と緑の空間として地域社会へ潤いややすらぎを与え、まちづくりと一体となった「景観形成軸」として重要な役割が期待されています。
このような背景から、静岡県及び浜松市では、治水・利水・環境が調和するとともに地域にとってかけがえのない川づくりの具体的な計画を定める「馬込川水系河川整備計画」を策定することとしました。
計画策定にあたっては、住民の代表者や様々な分野の専門家からなる「馬込川水系流域委員会」を設立し、流域内の治水施設の整備、流域内の生物の良好な生息環境の保全と創出及び憩いの空間としての利用について幅広い御意見をいただきながら検討を行い、河川整備計画に反映させていくものとします。 |