令和6年度 記者提供資料


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( 資料提供 )

第28回伊豆文学賞入賞作品が決定!

第28回伊豆文学賞入賞作品が決定!
最優秀賞は、小説「ノイジー・ブルー・ワールド」(ナガノ・イズミさん/駿東郡長泉町)と掌篇「Resonance Resilience」(秋元 祐紀さん/静岡市)

[要旨]
 文学にゆかりのある伊豆をはじめ静岡県全域を題材とした文学作品を公募する「伊豆文学賞」は今回で28回目となり、全国から446編の応募がありました。厳正なる審査の結果、各部門の入賞作品を次のとおり決定しました。

[内容]
1 審査結果
(1) 小説・随筆・紀行文部門(応募数:251編)
作品名(種別)
作者名
居住地
副 賞
最優秀賞
ノイジー・ブルー・ワールド
(小説)
ナガノ・イズミ※
(ながの・いずみ)
駿東郡長泉町賞金
100万円
優秀賞
青菜屋敷
(小説)
春野 礼奈 ※
(はるの れな)
東京都調布市賞金
20万円
佳 作
台風の後に
(小説)
北河 さつき
(きたがわ さつき)
富士市賞金
5万円
権現の返り言
(小説)
星山 健
(ほしやま けん)
兵庫県宝恷s
 (2) 掌篇部門(応募数:195編)
作品名
作者名
居住地
副 賞
最優秀賞
Resonance Resilience秋元 祐紀
(あきもと ゆうき)
静岡市賞金
5万円
優秀賞
柿田川湧水大岡 晃子※
(おおおか あきこ)
駿東郡長泉町賞金
1万円
一分間の瞑想岡田 あさひ※
(おかだ あさひ)
掛川市
流島 水徒※
(るじま すいと)
御殿場市
熱海の灯内藤 ひとみ
(ないとう ひとみ)
東京都練馬区
桜舞う季節まで初又 瑚白
(はつまた こはく)
伊豆の国市
※印:筆名(ペンネーム)

2 今後の予定
・表彰式は、3月9日(日)に伊豆市で開催します。
・入賞作品を掲載した「第28回伊豆文学賞優秀作品集」を3月上旬に発行します。

3 最優秀賞受賞のコメント
(1) 小説・随筆・紀行文部門  ナガノ・イズミさん
(受賞の知らせを聞いて)
 最優秀賞に選ばれると全く予想していなかったので、とても驚いております。大変光栄です。
(応募の動機、静岡県との関わり)
 伊豆文学賞は、私が初めて応募し、賞を頂いた文学賞です。静岡県は私の生まれ育った土地ですが、普段そのことを意識することは稀です。曲がりなりにも、静岡を舞台にひとつの小説を立ち上げることは、地元について改めて考えるきっかけを与えてくれました。
(作品に込めた思い)
 [海」が今作のキーワードです。海は、私にとって重要なモチーフのひとつです。ふらりと海を見にいくことがたまにあるのですが、海を眺めていると、疲弊するようで安心するような、不思議な感覚にいつも襲われます。それはなぜなのか。これについて考えるために、今回の小説を書いたような気がしています。
 (2) 掌篇部門  秋元 祐紀さん
(受賞の知らせを聞いて)
最優秀賞に選んでいただき、大変光栄です。ありがとうございます。お電話をいただいた後も、自宅に受賞のお知らせの手紙が届くまで実感が湧かず、ふわふわしていました。一人称独白体、意識の流れが好きなので、何を書くかと共に、いかに書くかという点も今後も追究していきたいです。
(応募の動機、静岡県との関わり)
 静岡県には楽器メーカーが多くありますが、吹奏楽コンクールのパンフレットを見るたびに吹奏楽人口が減少してきたと実感しています。生まれ育った静岡の皆さんに吹奏楽に興味を持ってもらうとともに、新型コロナウイルス感染症の爆発的流行から数年たった今だからこそ言葉にできることを、今、残しておきたいと思い、作品を書き上げました。
(作品に込めた思い)
 吹奏楽部に所属していた中高生時代の半分くらいは「苦しい」「辞めたい」と思っていましたが、音を通して会話をし心に触れ、一つの大きなうねりを生み出す瞬間が年に1,2回あり、その喜びと快感に呪われて15年以上吹奏楽の演奏を細々と続けています。新型コロナウイルス感染症のもと、”不要不急”という標語が日本を席巻しましたが、あの出来事を経て、”要”でも”急”でもないものが人間を人間らしく生かすのだと改めて思いました。性格も意見も熱量も違う者同士が交わることで衝突もありますが、その先に自分一人では見えない景色があるというのは、吹奏楽に限らず、人間社会の真理である気がします。これからも、学校がそうしたことを経験できる場所であり続けてほしいと願っています。


4 最優秀賞作品についての審査員コメント
 (1) 小説・随筆・紀行文部門 (審査員:村松 友視)
 すごく軽快な今風な言葉で語りかけられているが、描写や心模様が緻密で工夫が凝らされている点が評価できる。元編集者の感覚的には、作者を訪ねてもう一作品、別の作品を書いてもらいたいと思えるような作品であった。まだまだ他がみたい。期待がもてる。

 (2) 掌篇部門 (審査員:今村 翔吾)
作品としては、まだまだかなり荒いものであるということ。物語の形も何とか留めているかという印象を受けたが、それを補ってあまるものがある。それは文章の中に光るものがあるということ。これは技術ではなく、作者の本音に拠るものであろうと思う。作品には大なり小なり作者の想いが籠もっている。作者は技術こそ荒削りだが、その想いが他を圧倒していたのではないか。技術を管の太さ、想いを水量に譬えるならば、まだ管はさほど広くはないのに、水量が極めて多いため、しかと噴出しているようなもの。まだ伸び代も感じて期待が出来る。

5 最優秀作品あらすじ(作者による作品紹介)
 (1) 小説・随筆・紀行文部門
最優秀賞「ノイジー・ブルー・ワールド」(小説)
 下田市の高校二年生、レナの幼馴染であるナギは過敏な感覚を持つ少年で、レナは実の姉のように彼を守ってきた。夏休みの前日、レナはナギに「海の絵を描きにいこう」と誘われるが、ナギは海には見えない不可解な絵を描き始める。やがてレナはナギが県外進学を考えていること知り、虚弱だったナギの成長に戸惑いと焦りを覚える。友人も恋人も進路を明確にする中、自信を失ったレナはナギを拒絶し、傷つけてしまう。だが、これがナギと過ごせる最後の夏休みだと知り、レナは海辺でナギが訪れるのを待つ。やがてナギが姿を現すが、鉢合わせしたレナの恋人がナギを脅かす。憔悴したナギはその夜、自宅から姿を消した。レナは真っ暗な海辺でナギを発見し、海の絵の完成に立ち会う。ナギは自分が共感覚の持ち主であり、レナの声は「青い」のだと告げた。幼い頃からの感謝の証として、ナギはその絵をレナに贈るつもりだった。だが、レナはそれを受け取らなかった。

 (2) 掌篇部門
最優秀賞「Resonance Resilience」
 高校3年生の夏、最後の吹奏楽コンクールを明日に控えた私は、この6年間を回顧する。新型コロナウイルス感染症による第61回静岡県吹奏楽コンクールの中止、活動の制限、部員数の減少。なぜ吹奏楽を続けてきたのか。積み重ねた時間に意味はあったのか。
 私たちの心を置いて、世界は戻ったふりをした。治し方の分からない傷を抱えた私たちは、音を共鳴させ世界を創ることで、前を向く。多くの人との関わりを感じながら。

    6 審査員
     (1) 小説・随筆・紀行文部門
      村松 友視 (作家、第87回直木賞受賞)
      嵐山 光三郎(作家、第58回読売文学賞受賞)
      太田 治子 (作家、第1回坪田譲治文学賞受賞)
    諸田 玲子 (作家、第26回新田次郎文学賞受賞)
     (2) 掌篇部門
      村松 友視 (作家、第87回直木賞受賞)
      中村 直美 (株式会社交通新聞社 常務取締役
                コミュニケーションデザイン事業部長)
    今村 翔吾 (作家、第166回直木賞受賞)
    7 募集結果
     (1) 応募総数 446編(小説203編、随筆33編、紀行文15編、掌篇195編)
     (2) 年代別応募数
    部 門
    10代
    20代
    30代
    40代
    50代
    60代
    70代
    80代
    90代
    不詳
    合計
    小説・随筆・紀行文
    4
    13
    20
    24
    35
    63
    62
    24
    2
    4
    251
    掌 篇
    23
    16
    18
    28
    33
    25
    29
    19
    1
    3
    195
    合 計
    27
    29
    38
    52
    68
    88
    91
    43
    3
    7
    446

     (3) 居住地別応募数
    部 門
    静岡県
    東京都
    神奈川県
    埼玉県
    千葉県
    愛知県
    その他
    道府県
    合 計
    小説・随筆・紀行文
    117
    39
    22
    5
    11
    9
    48
    251
    掌 篇
    91
    24
    21
    8
    7
    4
    40
    195
    合 計
    208
    63
    43
    13
    18
    13
    88
    446

    8 問い合わせ先
      伊豆文学フェスティバル実行委員会事務局(文化政策課内) 
      電話:054-221-3109 FAX:054-221-2827
      Eメール:izufes@pref.shizuoka.lg.jp

      ■ 添付資料

      第28回伊豆文学賞入賞作品が決定!:第28回伊豆文学賞入賞作品が決定!( 321KB )


      提供日:2025年1月17日
      担 当:スポーツ・文化観光部 文化局文化政策課
      連絡先:芸術祭推進班 TEL 054-221-3109

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